社内SEのトラブル対応

Windows Update不具合時に使われる「KIR(Known Issue Rollback)」とは?

一般ユーザーと企業管理者で“使い方が全く違う”理由

はじめに

Windows Update を適用した後に、

といった不具合が発生することがあります。

こうした際に Microsoft が用いる公式の復旧手段が、
KIR(Known Issue Rollback)です。

結論から言うと、この KIR は
「一般ユーザー(家庭用)」と「企業管理者(情シス)」で使い方がまったく異なります。

以下、それぞれの立場ごとに正確に解説します。


1. 一般ユーザー(家庭用・個人用PC)の場合

個人利用の Windows 11 / Windows 10 PC を使っていて、
「KIRで直るらしい」と聞いた場合でも、
ユーザー側で何か設定を行う必要はありません。

KIRの仕組み(一般ユーザー向け)

Microsoft が特定の更新プログラムに不具合があると判断すると、
KIR を使って、

「不具合の原因となっている修正箇所だけを無効化する指示」

を、Windows Update の仕組みを通じて配信します。

ユーザーがやること(手順)

  1. 待つ: PCがインターネットに接続されていれば、通常24時間以内にKIR情報を受信
  2. 再起動: PCを再起動することでKIRが有効化され、不具合が解消される

重要ポイント:
KIRは更新プログラムを削除するものではなく、
「問題のある挙動だけを元に戻す」仕組みです。

そのため、

という特徴があります。

再起動しても直らない場合

以下の場合は、KIRの対象外である可能性が高いです。

この場合は、後述する「更新プログラムのアンインストール」が必要になります。


2. 企業管理PC(情シス・AD / Intune / WSUS管理)の場合

Active Directory、Intune、WSUS などで管理されているPCでは、
KIRは自動では適用されません。

これは、

という設計上の理由によるものです。

管理者が行う作業の概要

Microsoft は、KIR 対象の不具合ごとに、

を公開します。

手順概要(管理者向け)

① MSIファイルの入手

該当する不具合の KB(ナレッジベース)ページから、
KIR用の MSI ファイルをダウンロードします。

② 管理用テンプレートのインストール

管理端末(DC や管理PC)で MSI を実行し、
ポリシー定義(ADMX/ADML)を追加します。

③ グループポリシーの設定

グループポリシー管理エディターを開き、
以下のようなパスに追加された設定を探します。

コンピューターの構成
└ 管理用テンプレート
   └ KBxxxxxx Issue Rollback

④ ポリシーを有効化(または無効化)

多くの KIR ポリシーでは、

「無効(Disabled)」に設定することでロールバックが有効

になります。

※ ただし、必ず該当KB記事の指示に従ってください。

⑤ クライアントPCを再起動

ポリシー適用後、
クライアントPCを再起動すると KIR が有効になります。


補足:KIRとは何をしているのか?

KIR(Known Issue Rollback)は、

「Windows Update 全体をアンインストールせずに、問題のある変更点だけを無効化する技術」

です。

メリット

デメリット


今すぐ直したい場合(KIRを待てない場合)

以下の場合は、従来どおり

更新プログラムそのものをアンインストール

するのが確実です。

手順

  1. 設定 → Windows Update → 更新の履歴
  2. 「更新プログラムをアンインストールする」を開く
  3. 直近の「KBxxxxxx」を選択してアンインストール
  4. 再起動

まとめ

Windows Updateの不具合に遭遇した際は、
「慌てて削除」する前に、KIRが来ていないか
一度確認してみるのも賢い選択です。

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