はじめに
2025年以降、Windows 11の大型更新(24H2・25H2)を適用した後に、 BitLockerが意図せず有効化され、回復キーを要求されてPCが起動不能になるというトラブルが急増しています。 特に企業環境では、回復キー未管理による業務停止が大きなリスクになります。
この記事では、最新の報告をもとに、現象・原因・緊急対処・恒久対策を 社内SE視点でまとめます。
✅ 現象(実際に報告されているもの)
- Windows Update後、突然BitLocker回復キーを要求される
- KB5066835 / KB5066791 適用後に発生するケースが多い
- Intel CPU+Modern Standby搭載ノートPCで頻発(Surface、Dell、HP、Lenovo等)
- 回復キーが分からず、PCが完全にロックされて業務継続不可に
🛠 原因(複数の要因が重なる)
① Windows Updateによる「BitLocker一時停止」処理の失敗
通常、Windows Update時はBitLockerを自動で一時停止し、再起動後に整合性チェックをパスさせます。 しかし、この処理が失敗するとTPMが構成変更を「改ざん」と誤認し回復モードへ移行します。
② Modern Standby(モダンスタンバイ)との競合
省電力中もネットワークを維持する仕組みで、TPM計測値やセキュアブート構成の不一致が発生 → 回復要求へ。
③ Windows 11 24H2/25H2の仕様変更で自動暗号化がONになる
Microsoftアカウントで初期設定すると、TPM+Secure Bootが条件を満たすため、 ユーザーが気づかないうちにBitLockerが自動有効化されます。
④ Intune/GPO(企業ポリシー)の再適用
更新後にポリシー再適用が行われ、誤って「暗号化必須」が適用される事例あり。
⚠ 影響範囲
- 対象OS:Windows 11 24H2 / 25H2、Windows 10 22H2
- 対象PC:Intel第11世代以降、Modern Standby搭載モデル
- リスク:回復キー未管理 → テレワーク先でPCロック → 完全に業務停止
💥 緊急対処法(今すぐPCを使いたい場合)
① 回復キーを確認して入力
- 個人PC(Microsoftアカウント) https://account.microsoft.com/devices/recoverykey
- 企業PC(Azure AD / Intune) 管理者 → デバイス → BitLockerキーを検索
- 紙・USB保存のバックアップキーがあれば使用
② BitLocker保護の再設定(誤作動解除)
PowerShell(管理者):
manage-bde -protectors -disable C:
manage-bde -protectors -enable C:
③ BIOS/TPM状態の確認
- Secure Boot ON
- TPM有効(TPM2.0)
- BIOSアップデート後は再度「BitLocker一時停止」が必須
🔧 恒久対策・予防方法(企業PCで特に重要)
① Windows Update前にBitLockerを一時停止(必須)
方法①GUIで一時停止
BitLockerを一時停止
「保護の一時停止」をクリック → 確認ダイアログで「はい」。
設定を開く
「設定」→「更新とセキュリティ」→「デバイスの暗号化」または「BitLocker管理」。
BitLocker管理画面へ
「コントロール パネル」→「BitLockerドライブ暗号化」。
対象ドライブを選択
通常は「C:」。
方法②PowerShellで一時停止(推奨)
manage-bde -protectors -disable C:
※再起動後、自動で再有効化されます
確認:
manage-bde -status
→ 「保護の状態: 保護が一時停止されています」と表示されればOK。
② グループポリシーで「自動暗号化」を防止
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\BitLocker
PreventDeviceEncryption (DWORD) = 1
③ 回復キーを複数バックアップ(必須)
- Microsoftアカウント
- USB保存
- 紙で物理管理(サーバ室・金庫)
④ ローカルアカウントで初期セットアップ(企業向け)
24H2以降、Microsoftアカウントセットアップ → 自動暗号化ONになるため回避可能。
🔧 さらに効果の高い事前対策設定
⑤ 高速スタートアップをOFFにする
高速スタートアップは、起動時のTPM計測値に差異を生みやすく、 BitLocker誤作動(回復モード移行)の原因になることがあります。
コントロールパネル → 電源オプション →
「電源ボタンの動作を選択する」 →
「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外す
⑥ HDDスリープ(オフ時の電源オフ)を無効化
HDDや外付けディスクがスリープ → 再接続時に構成が変わったと誤認 → BitLockerの整合性チェック失敗の原因になります。
電源プラン → 詳細設定 → ハードディスク →
「次の時間が経過後ハードディスクの電源を切る」を 0(無効)へ
まとめ
Windows 11 24H2 / 25H2 では、BitLockerの自動有効化や Modern Standby・TPMとの競合により、 「意図しないBitLocker回復キー要求」が以前より高い頻度で発生しています。
特に企業PCでは、
- 更新前にBitLocker一時停止
- 高速スタートアップOFF
- HDDスリープ無効化
- 回復キーの多重バックアップ
を徹底することで、発生率を大幅に下げられます。
社内展開前には、必ずテスト機で24H2/25H2適用後のBitLocker動作を検証してください。


























知らぬ間にBitlockerになってた や突然回復キー聞かれた 等 かなり聞きます
念のため自分のPCを一度確認してみてはどうでしょうか