Windows 11 バージョン 24H2/25H2 では、共有フォルダ(特にSMB経由)にアクセスできないトラブルが多く報告されています。
特に Excel などの Office アプリで、「ネットワーク経由のファイルが開けない/保存できない」ケースが目立ちます。
この現象の多くは、Microsoft がSMBプロトコルのセキュリティを強化したことによる設定変更が原因です。
本記事では、原因と対処法を分かりやすく整理します。
2. 主な原因
① ゲストアクセスの無効化
Windows 11 24H2以降では、未認証(ユーザー名・パスワードなし)で共有フォルダにアクセスする機能が既定で無効化されています。
以前まで使えていた「共有フォルダを全員に公開」設定では、接続できなくなるケースが発生します。
② SMB署名(デジタル署名)の強制
SMB通信において署名の付与が必須になりました。
これにより、署名に対応していないNAS・古いWindows機・プリンタなどに接続できないことがあります。
③ ネットワーク名解決の失敗
コンピューター名(\\PCNAME)でのアクセスが失敗し、IPアドレス(\\192.168.x.x)ではアクセスできるというケースがあります。
これは、NetBIOS や SMB1 が無効化されたことによる影響です。
3. 対処法(社内SE・一般ユーザー共通)
✅ 方法1:共有元PCに認証ユーザーを作成する
- 共有フォルダをホストしているPC(サーバ側)で、アクセスするPCと同じユーザー名・パスワードを作成。
- 共有設定を開き、そのユーザーに「読み取り/書き込み権限」を付与。
- クライアントPCから
\\ホスト名\共有名にアクセスし、認証情報を入力。
この方法が最もセキュリティ的に安全で、Microsoft公式も推奨しています。
✅ 方法2:グループポリシーでゲストアクセスを一時的に許可(Pro/Enterprise版のみ)
家庭用やテスト用など、一時的にアクセスを許可する場合は、ポリシー変更で回避できます。
(※社内環境では必ず情報システム部門の承認を得て実施してください)
手順:
Win + R→gpedit.mscを実行。- 次の場所を開く:
コンピューターの構成 → 管理用テンプレート → ネットワーク → Lanman Workstation - 以下を設定変更:
| ポリシー名 | 設定 |
|---|---|
| Microsoft Network Client: Digitally sign communications (always) | 無効 |
| Microsoft Network Client: Digitally sign communications (if server agrees) | 無効 |
| Enable insecure guest logons | 有効 |
設定後に再起動してください。
PowerShellで一括設定する場合:
# PowerShell管理者モード
Set-SmbClientConfiguration -EnableInsecureGuestLogons $true -Force
Set-SmbServerConfiguration -EnableInsecureGuestLogons $true -Force
Set-SmbClientConfiguration -RequireSecuritySignature $false -Force
Set-SmbServerConfiguration -RequireSecuritySignature $false -Force
✅ 方法3:IPアドレス経由でアクセス
コンピューター名(\\PCNAME)でつながらない場合、
直接IPアドレス指定でアクセスすることで回避できるケースがあります。
\\192.168.x.x\共有名
NASや古いWindowsサーバーの場合、名前解決(NetBIOS)が効かないことが多く、
IPアドレス指定がもっとも確実です。
✅ 方法4:共有フォルダの書き込み権限を確認
Excelファイルが開けない場合、ファイルロック(一時ファイルの作成)に失敗しているケースもあります。
共有フォルダの「アクセス許可」で、対象ユーザーが変更(書き込み)権限を持っているか確認しましょう。
また、ウイルス対策ソフト(Defender for BusinessやESETなど)が一時ファイル生成をブロックしていないかも確認します。
4. セキュリティ上の注意点
- SMB1(旧式プロトコル)の再有効化は非推奨です。セキュリティリスクが高く、Microsoftもサポート対象外。
- ゲストアクセスを恒久的に有効にするのも避けるべきです。可能なら認証ユーザー方式に切り替えましょう。
- NASや複合機が古い場合は、ファームウェア更新やSMB2/3対応を確認。
5. まとめ
Windows 11 24H2/25H2では、SMB通信のセキュリティが大幅に強化されました。
その結果、これまで「パスワードなし」でアクセスできた共有フォルダが使えなくなっています。
以下の順で対応するのが最も安全で確実です:
- ① 共有元にユーザーを作成 → 認証アクセスへ移行
- ② 一時的にポリシーでゲストアクセスを許可(必要最小限)
- ③ コンピューター名でつながらない場合は IP指定でアクセス
Excelファイルが開けない場合も、共有設定とアクセス権の見直しで改善します。
セキュリティを確保しつつ、業務を止めないバランス設定を心がけましょう。




























コメントを残す