【2025年版】Windows 10 → 11 アップデートに失敗する原因と対処法（完全ガイド）

「Windows 11 へアップデートしたいのに、エラーが出て進まない」――2025年現在も相談が多いテーマです。
本記事は、よくある失敗原因の見極め→安全な事前準備→確実に通すための手順を、実務視点で深掘り解説します。

結論（最速要点）

• よくある失敗原因：TPM/Secure Boot無効、ドライバ/BIOSの古さ、空き容量不足、更新コンポーネント破損、サードパーティ製常駐、回復/予約領域不足（0x800F0922）
• 通す基本戦略：要件確認 → 電源&スリープ抑止 → DISM/SFCで整備 → ドライバ/BIOS更新 → クリーンブート → インストールアシスタント or ISOで就業外に実行
• 途中で電源を落とさない：AC接続のまま・スリープ無効で実施（長いと数時間）。

STEP0：まずは要件チェック（通らない原因の切り分け）

PC正常性チェック（必須）

• Windows 11 要件：TPM 2.0 / Secure Boot / UEFI / 対応CPU / 4GB以上のRAM / 64GB以上のストレージ。
• Microsoft公式のPC正常性チェックで不足点を特定（TPMやSecure Bootが「無効」ならBIOS/UEFIで有効化）。

BIOS/UEFI設定（代表例）

• TPM：Intel PTT / AMD fTPM を Enabled
• 起動方式：UEFI（Legacy/CSMは不可）
• Secure Boot：Enabled

※富士通機は起動時[F2]でBIOS、[F12]でBoot Menuが目安。

STEP1：電源・スリープ・ネットワークの事前対策

• ACアダプタ接続のまま実施（ノートPC）。
• スリープ/休止を一時的に無効化（コントロール パネル → 電源オプション → スリープしない）。
• 有線LAN推奨。Wi-Fiの場合は途中切断に注意。

（任意・管理者PowerShell）
powercfg /change standby-timeout-ac 0
powercfg /change hibernate-timeout-ac 0

STEP2：Windowsの“土台”を修復（DISM & SFC）

更新系エラーの半分は「コンポーネントの破損」が原因。
管理者でコマンドを順に実行して OS を正常化します。

（管理者PowerShell または 管理者コマンド プロンプト）
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow

※再起動後にもう一度 sfc /scannow を回して 100% 正常か確認。

STEP3：ドライバ・BIOS/UEFI・ファーム更新

• チップセット／グラフィック／LAN／ストレージは最新へ（メーカーサポートサイト推奨）。
• BIOS/UEFIはリリースノートに「安定性/セキュリティ」改善があれば更新。
• BitLocker使用中は一時停止（後述）。

STEP4：空き容量・システム領域の整備

• システムドライブに30〜40GB以上の空き推奨（最小要件 64GB は「搭載量」であり、空き不足は失敗要因）。
• 0x800F0922 の代表因：システム予約/回復パーティションの空き不足。回復パーティションを 750MB 前後に確保できると安定。ツールで拡張 or クリーンインストール検討。

（管理者PowerShell）
cleanmgr /sageset:11 && cleanmgr /sagerun:11

STEP5：常駐・暗号化・周辺機器の一時退避（失敗回避の定番）

• クリーンブート：常駐を最小化（非Microsoftサービス無効・スタートアップ停止）。
• サードパーティ製セキュリティ/最適化/VPNは一時アンインストール（0xC1900208回避）。
• 外付けUSB/SDカード/ドングルは全て抜く（0xC1900101系の定番対策）。
• BitLockerは「保護の一時停止」（コントロール パネル → BitLockerの管理 → 保護を一時停止）。

STEP6：Windows Update コンポーネントリセット

更新履歴の破損で“途中でロールバック”するケースを防ぎます。

（管理者コマンド プロンプト）
net stop wuauserv
net stop bits
net stop cryptsvc
net stop msiserver
ren %systemroot%\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
ren %systemroot%\System32\catroot2 catroot2.old
net start msiserver
net start cryptsvc
net start bits
net start wuauserv

STEP7：安全な実行方法（3択）

1. Windows 11 インストール アシスタント（最も手軽）
2. ISO マウント → setup.exe（ネットワーク影響を受けにくい）
   ダウンロードしたISOを右クリック→「マウント」→仮想ドライブのsetup.exeを実行し、画面指示に従って 個人用ファイルとアプリを引き継ぐ を選択。
3. メディア作成ツール（USBメディア作成用・別PCでも可）

注意： 実行中は電源を切らず、スリープ無効の状態で放置（数時間かかることも）。

STEP8：それでも失敗する時の“型”

（A）0xC1900101（ドライバ関連）

• 増設デバイス/USB/旧ドライバを外す/削除 → ドライバ全面更新 → 再実行。

（B）0x800F0922（予約領域 or 接続）

• VPN/プロキシを外す、.NET関連を有効化、回復/予約領域の容量拡張を検討。

（C）0xC1900208（互換性のないアプリ）

• ウイルス対策・古いVPN・チューナー/最適化ツールをアンインストール。

（D）進捗◯％からロールバック

• STEP2〜6をやり直し、ISOオフライン実行に変更。

STEP9：ディスク/ファイル エラーを疑う（時間がかかってもやる価値あり）

（管理者コマンド プロンプト）
chkdsk C: /scan
（問題が出たら）chkdsk C: /f

※/f は再起動が必要。大容量SSD/HDDは時間がかかるため、就業外で。

STEP10：ログで原因を特定（上級）

• C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther\ の setuperr.log / setupact.log
• Microsoftの SetupDiag を実行してエラー種別を自動解析

安全のためのメモ

• BIOS更新や長時間処理の前に、必ずバックアップ（ユーザーデータ/復元ドライブ）。
• 企業PCは運用ポリシー（BitLocker/EDR/プロキシ）により失敗しやすい。情シスに相談。
• 要件外ハードウェアの“強行アップグレード”は非推奨（将来の更新不可リスク）。

まとめ

• 失敗の主因は要件未達・コンポーネント破損・ドライバ/BIOSの古さ・常駐干渉・領域不足。
• 電源を切らない/スリープ無効で、DISM→SFC→ドライバ/BIOS→クリーンブート→ISO実行が通しやすい鉄板順。
• 特定エラーコードは本稿の「型」で対処。最後はログ（SetupDiag）で詰める。