近年、サイバー攻撃の主戦場は「大企業」から サプライチェーン全体へと明確に移行しています。
この流れを受けて、経済産業省と内閣官房(国家サイバー統括室)が主導し、 現在構築を進めている国家制度が
「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(通称:SCS評価制度)」 です。
本記事では、
- SCS評価制度とは何か(結論)
- 既存の SECURITY ACTION との違い
- なぜ IT販社・SIer にとって“営業チャンス”なのか
- 中小企業は何を目指せばいいのか
を、正確かつ実務目線で解説します。
■ SCS評価制度とは何か(結論)
SCS評価制度とは、
経済産業省と内閣官房(国家サイバー統括室)が主導して構築を進めている、
サプライチェーンを構成する企業の「サイバーセキュリティ対策の実装状況」を
共通基準で評価・可視化する国家制度
です。
2026年度末(2027年頃)からの本格運用が予定されています。
■ なぜ作られたのか(背景)
背景にあるのは、近年急増している
「取引先(特に中小企業)を踏み台にしたサプライチェーン攻撃」
です。
これまでの問題
- 発注企業側
取引先のセキュリティ水準が外から判断できない - 受注企業側
取引先ごとにバラバラなチェックシート対応を強いられる
この非効率と不透明さを解消するため、
👉 国が共通の「ものさし(評価基準)」を作る
それが SCS評価制度です。
■ 制度の性格(ここが重要)
SCS評価制度は、公式に次のように整理されています。
- ❌ 企業を序列化するための「格付け制度」ではない
- ✅ 取引に必要なセキュリティ対策ができているかを示す共通言語
つまり、
「優劣を決める制度」ではなく、
「取引できる最低ラインを揃える制度」
という位置づけです。
■ SECURITY ACTIONとの関係(ここが最大の誤解ポイント)
これまで中小企業向けには、 SECURITY ACTION(★1・★2)が存在しました。
しかしこれは、
- 自己宣言(自分で「やってます」と言うだけ)
- 第三者の確認なし
という性格のものでした。
今回の SCS評価制度は、
その「上位版」として、
国が明確な「レベル(格付)」を新設する制度
です。
評価レベルの全体像
| レベル | 位置づけ | 中小企業への影響 |
|---|---|---|
| ★5 | 最高水準(重要インフラ等) | 一部の大企業向け |
| ★4 | 標準的・発展的水準 | 高度な対策が必要 |
| ★3 | 基礎的水準 | すべての中小企業が目指すべき「合格ライン」 |
| ★2 | SECURITY ACTION(基本) | 自己宣言 |
| ★1 | SECURITY ACTION(5か条) | 自己宣言 |
👉 ★3から「第三者の目」が入る
これが決定的な違いです。
■ なぜこれが「営業のチャンス」なのか(IT販社視点)
この制度は、IT販社・SIer にとって
「お客様(中小企業)にセキュリティ対策を導入させる最強の口実」
になります。
これまでの営業
「ウイルスが怖いですよ」
→ 客「うちは盗まれるデータないし…」
これからの営業
「取引先から 『★3の証明書を出してください』 と言われたら、
出せない会社は取引停止になります」
→ 客「それは困る。どうすればいい?」
👉 経営リスクの話に直結します。
■ 中小企業は具体的に何を目指すべきか
結論は明確です。
狙うべきは「★3(三つ星)」
★3の特徴
- 単なる自己宣言では不可
- 専門家(情報処理安全確保支援士 等)による確認が必要
★3で求められる例
- IT資産管理
- パッチ適用
- MFA
- インシデント対応・復旧手順(★3から必須)
■ IT支援事業者にとってのビジネスチャンス
① 「★3取得支援」パッケージ
- 現状診断
- 足りない規程の作成
- 必要なツール導入
をセット化。
② 「サイバーセキュリティお助け隊」の活用
この制度と連動し、 「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」 も検討されています。
「国の認定ツールを入れておけば、★3取得が楽になりますよ」 という提案が可能になります。
■ 企業実務への影響(重要)
① 取引条件に組み込まれる
- 「★3以上を取引条件に」
- 「重要取引は★4必須」
という要請が現実的に想定されています。
② 価格交渉(コスト転嫁)の根拠になる
国は、
SCS評価制度に基づく対策費用は、
正当な価格交渉(コスト転嫁)の根拠になり得る
と明確に整理しています。
■ スケジュール(最新)
- 2025年12月:制度構築方針(案)公表
- 2026年度末:★3・★4 運用開始予定
- ★5:2026年度以降に詳細設計
■ ひとことでまとめると
SCS評価制度 =
「サプライチェーン取引における
セキュリティ対策の“共通語・共通証明書”」
早く備えた企業ほど、
切られず・選ばれ・説明できる。


























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